虹の向こう

アイドルと共にともに。

映画「ピンクとグレー」を見て

映画「ピンクとグレー」が公開されました。

1月9日の公開初日に見た私の感想はこちら。







初めて見た時の感想として、一言でどうにも言い表せない感情が複雑に渦巻いていました。まず大きなスクリーンで見るゆうてぃーの姿への感慨深さと、62分後の衝撃以降が全く予測と逆であったこと、それが消化できなかったこと。「行定監督よくもやってくれたな!」と「行定監督よくぞやってくれたな!」のせめぎ合いでした。
映画の後半からは原作にはないオリジナルストーリーとなるのですが、最もショックだったのはゆうてぃー・菅田くん・夏帆ちゃんの幼なじみ3人が劇中劇の虚像であったという事実です。私は事前に原作を読んでいたので、「62分後の衝撃」から劇中劇に入るだろうと予想をしていました。しかし、実際は前半が劇中劇であり、後半こそがピングレ内のリアルであるという構造になっていました。私の予想と真逆だったのです。プロモーション活動中に何度も3人の幼なじみ映像を見て、映画を抜け出した3人の関係性を含めて大好きになっていた身としては、それが虚像だと突きつけられた事実がとにかくショックでした。それだけ原作に沿った(と言っても沿ってないところも色々あるのですが)前半のストーリーを演じる3人が、とても美しかった。きらきらして、ふわふわして、時に切なくて残酷で。美しい世界を生きる3人がスクリーンに存在していることを、とても幸せに感じました。
ゆうてぃー自身が原作を元々読んでいたということもあって、ゆうてぃーの演じるごっちは、原作から飛び出してきたように感じられる程「ごっちらしい」なと思いました。優しくて、可愛らしくて、かっこよくて、どうしても人を惹き付ける何かがあって。一方でどこか掴みどころがなくて、儚くて、不器用で。表情も勿論素敵なんですが、特に好きなのは声です。柔らかくて優しい。ゆうてぃーがこういう声色を出せることにびっくりしました。ごっちのファレノプシス、永遠に聞いていたいです。空気が色を変えるってこういう瞬間を言うんだろうなと思いました。
一方で、後半のオリジナルストーリーでは、前半からがらりと変わったゆうてぃーのお芝居に驚きました。今まで見たことのある、どんなゆうてぃーのお芝居とも重ねられませんでした。菅田くんと夏帆ちゃんが全く違うキャラクターを演じたことで、その世界観に引き上げられていった、というようなことをゆうてぃー自身が言っていました。正にその通りでした。
後半のストーリーは、ゆうてぃーを主演として映画を組み立てた時に、行定監督(そして脚本の蓬莱さん)が考えたものです。前述の「よくも」「よくぞ」という感情は、行定監督がゆうてぃーに後半のストーリーを演じさせようとしたことに対してなのですが、よくまあこの内容をあてがったものだなと、行定監督の決断に頭が下がる思いです。そして、ベッドシーン、妖しいパブのシーンもそうですが、泥臭い感情をむき出しにしてサリーや成瀬に向かっていくシーンなど、心も身体もガリガリになる程削って演じたゆうてぃーの覚悟に、勿論そのお芝居に、ぎゅっと胸が締め付けられました。ゆうてぃーは「後半はただただ醜く見せるように演じた」と言っていたけれども、私にはそうは見えませんでした。嫉妬も、焦りも、楽な方や誘惑へと流されちゃう弱さも、りばちゃんの葛藤の一部であり、魅力のひとつでもあると思いました。醜い感情が醜いだけで終わらなかったのは、ゆうてぃーがりばちゃんに共感し、愛しく思う気持ちの表れでもあるのかもしれません。

初めて見た時はショックで消化できなかった後半のストーリーですが、何度か見る内に、ゆうてぃー・岸井ちゃんのりばちゃん・サリーカップルがすっかり可愛く映るようになりました。特に岸井ちゃんのサリーは、原作とは愛情を向ける相手が異なるものの、原作のように自分の意見をしっかり言える、強くて愛らしい女性として描かれています。そこから比べると、前半の夏帆ちゃんのサリーは「2人のマドンナ的存在(夏帆ちゃん談)」であり、りばちゃん(菅田くん)に流されるまま同棲をしているような描かれ方です。前半はりばちゃん(ゆうてぃー)原作を元にしていると考えると、ごっちへの憧れを捨てきれないまま惰性で付き合ってくれている、とりばちゃんは自虐的に思っているのかなあ。だとすると、真剣にりばちゃんを大切だと思っているサリー(岸井ちゃん)が可哀想過ぎるなと。映画の後の2人が幸せになっていてくれるといいなと思っています。
柳楽くんの存在、それからお姉さんのことについても最初は解せない気持ちでいました。しかし、「ラストシーンのごっちの部屋は本当のごっちの部屋ではなく、劇中劇のセットだ」と行定監督が言っていたのを聞き、全てはりばちゃん(ゆうてぃー)の心の中で、自分が作り出したごっちと勝手に会話をし、自分なりに納得をするに至ったということなのかな、と解釈をしました。「それでいい」「それがいい」というごっち(柳楽くん)の言葉は、亡くなったごっちの魂がりばちゃんへ乗り移ったようにも感じられるけれども。ずっとサリーからもらった油絵を飾っていたこと、「サリーのことは大事にしてやってよ」の言葉、ごっちの気持ちはずっとぶれていなかったのだろうけど、りばちゃんはどこまでも鈍いということかな。(サリー(岸井ちゃん)のことも含めて)

大きなスクリーンで見るゆうてぃーの姿は、本当に感無量としか言いようがありません。あれだけ大きなスクリーンで、あんなに美しい人の様々な表情を見ることができる、それだけで映画館にお金を払って映画を見る価値があります。映画の主演って、なんて素晴らしいんだろう!
事務所の先輩であるシゲアキ先生原作の「ピンクとグレー」映画化において主演を務めたことで、シゲアキ先生とも交流を深めることができて、本当に良かったね。映画化に対しての受け止め方から、シゲアキ先生ってこんなに見識が広く、深い人だったんだなと知ることができました。行定監督、菅田くん、夏帆ちゃんという映画のプロフェッショナルとお仕事ができたことも、ゆうてぃーのこれからに大いに活かされるだろうと期待しています。





全く本筋と関係ないのですが、小出水さんだけ劇中劇に本人が出演したのかと思うくらい、やたら再現率高くなかったですか? マキタスポーツさんと千葉哲也さんってそっくりですね・・・。